サービス付き高齢者向け住宅のマーケティング戦略構築・伴走

サ高住の広報に必要なマーケティング

某サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の広報立ち上げ支援を伴走しています。施設のハード面の魅力——居室の広さ、料亭経験を活かした食事、安心のサポート体制——はすでに揃っているのに、それが地域や検討者にうまく届いていない。そんな状況からのご相談でした。

ホームページ制作やSNS広報施策だけではなく、マーケティングの仕組み全体を整えること。何を、誰に、どこで、どう届けるか——その入り口から、施設の方々と一緒に考え、一緒に手を動かしながら組み立ててきました。

最初にやったこと:現場を見て、強みを言葉にする

2025年9月、施設を訪問しキックオフ。オーナーの方と現場を歩きながら、施設の強み、入居者の方々の暮らし、これまでの取り組みを丁寧に伺いました。

そこから見えてきた、この施設にしかない3つの軸——「広さ × 安心 × 食」をマーケティングのコアメッセージとして確定させ、ここから先のすべての発信を、この3つの軸を中心に組み立てていく方針を固めました。

誰が、どんな気持ちでこの施設を探すのか——一緒にペルソナを組み立てる

ホームページの話に入る前にしっかり時間をかけたのが、どんな方が、どんな気持ちで、サービス付き高齢者向け住宅を探すのかを施設の方々と一緒に解像度高く描いていく作業でした。

サ高住といっても、施設によって性格はかなり違う

ひと口に「サービス付き高齢者向け住宅」と言っても、施設ごとに性格はかなり違います。
比較的お元気な方が中心の施設もあれば、介護度の高い方が多い施設もある。今回ご一緒したこの施設は、自立してご自身のペースで生活できる方を主な対象とした住まいです。

そうなると、検討する方の像も自然と決まってきます。

  • 元気なうちに、自分の次の住まいを選びたいご本人(60代後半〜70代)
  • 遠方に住む親御さんの暮らしを気にかけているご家族(40〜60代のお子さん世代)

ご本人なら「自分の人生の後半をどう過ごしたいか」が問いの中心。
ご家族なら「親に安心して暮らしてほしい、自分も罪悪感を抱えたくない」が問いの中心。
それぞれが、違う動機と、違う温度感で施設を探します。

探し方の入り口は、ひとつじゃない

入り口もさまざまです。

  • 今のお住まい周辺の Googleマップで直接検索して、近所の選択肢を見渡す方
  • 「[地域名] サ高住」と検索エンジンから比較ポータルサイトに辿り着く方
  • 国土交通省のサービス付き高齢者向け住宅情報提供システムから、条件で絞り込む方
  • 知人や周囲の方からの紹介

それぞれの入り口で、最初に出会う情報は違います。
複数の入り口で同じ施設に出会ったときに、メッセージや情報の見え方がバラバラだと、
「この施設、結局どういう特徴があるんだろう?」と検討者は迷ってしまう。
そのため、どの入り口から来ても伝わるメッセージを作ることから始めました。

価格比較ではなく、「どんな暮らしがしたいか」で選ぶ軸を一緒に作る

サ高住の比較情報の多くは、価格・立地・広さ・設備で組み立てられています。
価格ももちろん大事な情報です。しかし、それだけで選ぶと、入居後に「思っていた暮らしと違った」と
感じる方が少なくないことも、業界の方々から伺っていました。

サ高住は、終の棲家になるかもしれない場所です。だからこそ大事にしたいのは、「どんな暮らしをしたいか」という嗜好だと考え、施設の方々と一緒に、この施設が向いている方の暮らし方を解像度高く描いてみました。

  • 共有スペースで他の入居者の方とおしゃべりしながらワイワイ過ごしたい方/居室で静かに趣味の時間を大切にしたい方
  • ご自分でキッチンに立ってお料理を楽しみたい方/食事の準備からは解放されて料理は任せたい方
  • ご家族や友人を頻繁に招きたい方/プライベートな時間を守りたい方
  • 散歩や外出を楽しみたい方/室内で読書や手仕事を中心にしたい方

この施設は、居室が広く、システムキッチンも備わっていて、夕食はチケット制でご家族とも一緒に食卓を囲める設計。つまり「自分のペースで暮らしながら、料理も食事も自分で選べる、家族との距離も自分で調整できる」——そんな方に響く施設です。

ペルソナが見えてくると、ホームページに載せる情報も、写真の選び方も、文章のトーンも、自然と「その方に向けた発信」になっていきます。

複数の接点を、ぶれない核でつなぐ

検討者の動線が見えてきたところで、整えるべき接点を順番に整理しました。

1. Googleビジネスプロフィール——マップ検索で見つけてもらう
写真・営業時間・サービス概要・口コミ運用方針を整理。最新の空室状況を定期更新する運用ルールも設定。

2. 外部の比較ポータルサイト(LIFULL介護など)——比較されるときに選ばれる
既存掲載の文言を全面リニューアル。短文版・要約版を用意し、限られたスペースで
広さ × 安心 × 食の3軸が一目で伝わるよう調整。

3. 公式ホームページ——「もう少し詳しく知りたい」を受け止める
すべての情報のハブとして新規構築。この施設で暮らす自分がイメージできるように、生活の様子と入居者の方の声を中心に据えました。

4. 電話・問い合わせフォーム——検討の最後の一押し
電話番号はサイト内で常時固定表示、フォームは項目を絞ってハードルを下げる。

3つの接点で「広さ × 安心 × 食」のコアメッセージは固定したまま、媒体ごとに見せ方を最適化する。
そして、その先には、ペルソナと照らし合わせたときに「この施設、私(うちの親)に合いそう」と
思っていただける情報設計を仕込む。

業界の先行事例や成功している施設のマーケティング手法もたくさんリサーチし、取り入れられるものは取り入れつつ、目の前のこの施設の魅力に合うかたちに翻訳していきました。

紹介文のブラッシュアップ

外部ポータルサイトに掲載されていた施設紹介文は、思いのこもった文章でしたが、検討者にとっては「この施設の何がよいのか」が掴みづらい状態でした。

そこで、ポエティックな文体は引き算しつつ、施設の魅力は具体的な数字とエピソードで足し算する方向で書き直し、

  • 居室面積を具体的に明記
  • 「一般的なサ高住の約1.5倍」と比較で示す
  • 夕食チケット制、家族同席可、といった他施設にない仕組みをわかりやすく小見出しに
  • 立地の魅力(公園・湖まで徒歩5分)なども具体的な距離で

長文版・要約版の2つを用意し、媒体に応じて使い分けられるようにしました。

ホームページ制作のディレクション

コアメッセージと情報整理が固まったところで、ようやくホームページ制作へ。コスト・運用性・保守体制の観点から比較検討しました。

サイト構成は、初期公開段階で必ず入れるべき情報を絞り込んで設計:

  • トップ(価値訴求:広さ×安心×食/一次CTA:電話・見学予約)
  • 施設情報(居室仕様・面積・設備・写真)
  • 安心の体制(ALSOK・常駐体制・耐震/防火)
  • アクセス(地図・周辺環境)
  • 生活の様子・食事内容
  • よくある質問
  • 申込・見学予約フォーム

並行して、独自ドメインの移管、独自ドメインメールの設定など、必要な作業もまとめて進めました。

入居者の方の声を、コンテンツとして活かす

ホームページの中で特に丁寧に組み立てたのが、入居者の方・ご家族の声のコーナーです。

検討者の不安は具体的です。「本当に安心して暮らせるのか」「食事は美味しいのか」「家族として安心できるのか」——それに答えるのは、施設側からの説明よりも、実際にそこで暮らしている方の言葉です。

実際にいただいたお声を、肩書き(例:ご家族/80代ご入居者)とともに短文で構成。
信頼感を、押し付けではなく、自然に伝わるかたちで載せました。

続けられる仕組みに

サイトは作って終わり、ではありません。
むしろサイトは続けてこそ価値が出るので、立ち上げ後の運用設計も合わせて整えました。

  • CMS操作マニュアルを提供し、施設側でブログや写真を更新できる体制に
  • 月5回までの更新依頼が無料でできる契約構造で、無理なく続けられるリズムを確保
  • Googleビジネスプロフィールの空室状況・写真の定期更新ルールを設定
  • 問い合わせフォーム・電話の反応を見ながら、文言や写真を最適化していくサイクルを共有

施設の方々が自分たちで広報を回していける状態まで持っていく——そこまでがHeuteの担当範囲です。

伴走するということ

この仕事の関わり方を、PRコンサルや外注と呼ぶのは、たぶん違います。

戦略を提案して終わりではなく、ホームページの原稿を施設の方と一緒に書いて、比較サイトの管理画面を一緒に開いて、Googleマップに載せる写真を選んで、更新マニュアルを作って、運用が回り始めるまで一緒に動く。

課題に対しての打ち手を、調べて、考えて、率直にお伝えして、そのうえで、現場の方々と一緒に手足を動かしながら作り上げていく。そういう関わり方をHeuteは大切にしています。

サービス付き高齢者向け住宅という業界には、すでに先行する成功事例もあり、マーケティング手法のセオリーもあります。それらを丁寧にリサーチして取り入れつつ、目の前の施設・地域・運営体制に合うかたちに翻訳する。完成品を持ち込むのではなく、その施設の中から生まれた広報の仕組みになるように展開しました。

このプロジェクトでは、ハード面の魅力——居室の広さ、料亭仕込みの食事、365日の安心サポート——が、ようやく情報発信の面でも正しく伝わる土台が整いました。
ここから先は、サイトとGoogleマップをさらに「動かす」フェーズ。施設の方々と一緒に、見学予約や入居率の向上を検証していきます。

プロジェクト概要

  • 業種:サービス付き高齢者向け住宅
  • Heuteの担当:広報戦略・ブランディング策定、コアメッセージ設計、ペルソナ設計、検討者動線の整理、紹介文制作(長文版・要約版)、ホームページ制作ディレクション(制作会社選定・サイト構成設計・ドメイン管理)、Googleビジネスプロフィール整備、外部ポータルサイト掲載文整備、CMS運用体制構築、運用伴走
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